~“現地に行く前にわかること”が山ほどある!~
不動産を購入する前には、「現地を見て判断する」のが常識とされています。
でも実は、現地に行かなくても、役所に行くだけで“無料”で手に入る重要情報がたくさんあるのをご存知でしょうか?
それが「役所調査」です。
土地や中古住宅を購入しようとしている方にとって、役所調査は「リスクを避ける」ための基本。
特に、知らずに買ってしまうと「建物が建てられない」「将来売却できない」など致命的な問題にもつながります。
この記事では、初心者でもわかるように「役所調査とは何か」「どこで何がわかるのか」「調べ方の手順」までを具体的に解説していきます。
そもそも「役所調査」ってなに?
✔ 一言でいうと…
不動産に関する公的情報を、役所(市役所や区役所、町役場など)で調べることです。
不動産会社の資料や現地見学ではわからない、「法律上の制限」「将来の都市計画」「インフラ状況」などを、役所の各部署から情報収集できます。
✔ なぜ重要?
- 建物が建てられるかどうか
- どんな家が建てられるか
- 将来的に資産価値が下がるリスクがあるか
といったことは、役所にしかわからない情報で判断されるからです。
役所調査で得られる主な情報一覧
調査先 | 調べられること | 担当課 |
---|---|---|
都市計画図 | 用途地域、建ぺい率・容積率 | 都市計画課・都市整備課 |
道路台帳 | 前面道路の種別、接道義務 | 建築指導課・道路管理課 |
上下水道図 | 水道・下水道の引き込み状況 | 上下水道局・水道課 |
ハザードマップ | 洪水・土砂災害・地震リスク | 防災課・危機管理課 |
建築確認履歴 | 建物の確認済証・検査済証の有無 | 建築課 |
景観・防火・高さ制限など | 地域独自の法令制限 | 都市計画課・建築課 |
開発計画 | 将来の道路予定・開発計画 | 開発指導課・都市整備課 |
役所調査は「誰でも」「無料で」できる!
「不動産業者じゃないと見せてもらえないんじゃ…」
そんなことはありません。
ほとんどの情報は、誰でも無料で閲覧・コピーが可能です(一部は手数料あり)。
たとえば「都市計画図」や「ハザードマップ」は、近年では自治体の公式サイトからPDFでダウンロードできるケースも増えています。
実践編:役所調査でまず確認すべき7つのポイント
ここからは、実際にあなたが土地や中古住宅を購入する前に、無料で役所から得られる7つの情報を詳しく紹介していきます。
① 用途地域・建ぺい率・容積率(都市計画課)
✔ 用途地域とは?
そのエリアでどんな建物が建てられるかを定めた法律上の区分。
例:住宅専用地域、商業地域、工業地域など。
✔ 建ぺい率・容積率とは?
- 建ぺい率:敷地面積に対して建てられる建物の「面積」の割合
- 容積率:敷地面積に対して建物の「延べ床面積」の割合
✔ 重要な理由
- 理想の大きさの家が建てられない可能性がある
- 用途地域によっては店舗やアパートが建てられない
✔ 調べ方
- 役所の都市計画課で「都市計画図」を閲覧・コピー
- ネットでも「○○市 都市計画図」で検索するとPDF版あり
② 前面道路の種別・幅員(建築指導課/道路課)
✔ チェックする内容
- 接道している道路が建築基準法上の「道路」か?
- 道路の幅員が4m以上あるか?
- 自分の土地が2m以上接道しているか?
✔ なぜ重要?
建築基準法で接道義務を満たさない土地は建築不可。
つまり、買っても家が建てられない、または再建築できない可能性が。
✔ 調べ方
- 「道路台帳」「道路種別図」を役所で閲覧
- 「42条道路かどうか」「私道か公道か」も必ず確認
③ ハザードマップ(防災課・危機管理課)
✔ チェック項目
- 洪水・浸水想定区域
- 土砂災害警戒区域
- 津波浸水想定
- 液状化の可能性
✔ なぜ重要?
被災リスクが高いと、住宅ローン審査や保険料にも影響。
万が一の災害時、生活再建も難しくなります。
✔ 調べ方
- 市町村のホームページで「ハザードマップ」をダウンロード
- 役所窓口で紙のマップをもらえることも
④ 上下水道の整備状況(水道課・下水道課)
✔ 確認すべき内容
- 水道・下水道が敷地まで引き込まれているか?
- 排水は公共下水?浄化槽?
- 古い物件なら配管の材質・年数も確認
✔ なぜ重要?
整備されていないと、引き込み工事に数十万〜数百万円かかることも。
✔ 調べ方
- 役所で「上下水道台帳図」の閲覧
- 地番と住所を控えて行くとスムーズ
⑤ 建築確認済証・検査済証の有無(建築課)
✔ 確認すべき内容
- 過去にきちんと建築確認を受けているか?
- 完成後の検査済証は発行されているか?
✔ なぜ重要?
検査済証がないと、「違法建築」として売却や住宅ローンに支障が出ることがあります。
✔ 調べ方
- 建築課に「建築確認記録」「完了検査記録」を照会
- 古い物件では見つからない場合もあり、その際の代替書類も確認
⑥ 景観条例・高さ制限・防火指定(都市計画課)
✔ よくある制限
- 高さは10m以下
- 屋根の色は○○色のみ
- 景観保全のためのデザイン制限
- 準防火地域などの指定
✔ なぜ重要?
- 思い通りの家が建てられない
- 建築費が高くなる
- 工事に特別な許可が必要になる
✔ 調べ方
- 都市計画課で「景観計画図」「防火指定地図」などを確認
⑦ 開発予定・都市計画変更情報(開発指導課)
✔ チェックポイント
- 隣の空き地が将来何に使われるのか?
- 騒音施設、道路予定、商業開発の計画はあるか?
✔ なぜ重要?
将来的に周辺環境が激変するリスクを回避するため。
購入直後に高層マンションや工場が建ってしまっては後の祭りです。
✔ 調べ方
- 開発指導課や都市整備課で「都市計画道路」「開発申請」の情報を確認
- 長期計画(都市計画マスタープラン)も合わせて閲覧
役所調査に行くときのポイントまとめ
✅ 持っていくもの
- 物件の住所・地番(できれば)
- 登記事項証明書の写し(あれば)
- メモ帳とスマホ(写真OKな役所も)
✅ おすすめの流れ
- 都市計画課 → 用途地域や建ぺい率などを確認
- 建築指導課 → 道路・接道条件をチェック
- 水道課 → 上下水道の状況
- 防災課 → ハザードマップ
- 建築課 → 建築確認済証の有無
- 開発課 → 周辺の計画変更の有無
まとめ:役所調査は「最高にコスパのいい不動産調査」
不動産購入は、人生で最も高額な買い物のひとつです。
たった1時間、役所を回るだけで、リスク回避・安心材料・交渉材料が一気に手に入るなら、やらない理由はありません。
「調査にお金をかけずにリスクを減らしたい」
そんなあなたにとって、「役所調査」は最強の味方です。
✅ 最後にひとこと
役所調査は、初心者でも気軽にできる「プロの不動産調査の第一歩」。
ネットだけでは手に入らない一次情報を、ぜひあなた自身で確認してみてください。
“見に行く前に、聞きに行く”。それが賢い不動産購入の鉄則です。
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