不動産の購入や投資を検討する際に、必ず行いたいのが**「現地調査」**です。しかし、遠方の物件や時間のない場合、「すぐに現地に行けない」ということも多いのではないでしょうか。
そんなときに役立つのが、Googleマップやストリートビューといった「無料のオンライン地図サービス」です。これらを上手に使えば、自宅にいながらでも立地、周辺環境、接道状況、近隣施設、治安の雰囲気など、多くの情報を得ることができます。
この記事では、初心者でもすぐに実践できる「Googleマップを活用した簡易不動産調査法」を、具体的なステップとともに解説します。
目次
- なぜ「簡易調査」が重要なのか
- Googleマップで確認できる基本情報
- ストリートビューで「目に見えるリスク」をチェック
- Google Earthで立体的に地形や周辺環境を把握
- 航空写真と地図を使い分けるコツ
- チェックすべき5つのポイント
- オンライン調査の限界と補完方法
- まとめ:現地調査の第一歩はマップから!
1. なぜ「簡易調査」が重要なのか
不動産は「場所がすべて」と言われるほど、立地や周辺環境が重要です。しかし、不動産広告には良いことしか書かれていない場合が多く、現地に行って初めて気づく“マイナス要素”も少なくありません。
たとえば:
- 道路が狭く車が入れない
- 近くにゴミ集積所があって臭いが気になる
- 隣家が廃屋状態で治安が不安
- 坂道や崖地で再建築に制限がある
これらは現地を見ないと分からないように思えますが、Googleマップとストリートビューを使えばかなりの部分を事前にチェック可能です。
2. Googleマップで確認できる基本情報
まずはGoogleマップ(https://maps.google.com)に物件の住所を入力し、地図表示に切り替えて以下の点を確認してみましょう。
■ 地形と道路状況の確認
- 接道の有無(私道?公道?)
- 道路幅(車の通行が可能か)
- 一方通行や袋小路の可能性
- 前面道路の交通量
特に「再建築可能かどうか」は、**接道義務(2m以上の接道)**を満たしているかがカギとなります。Googleマップ上で接道部分を拡大し、道幅やつながりを確認するだけでもヒントになります。
■ 近隣施設のチェック
- 駅、バス停までの距離
- スーパーやコンビニの有無
- 学校、病院、公園など生活利便施設
- 工場や倉庫、墓地、パチンコ店の存在(嫌悪施設の有無)
マップ上のアイコンや「周辺検索」機能を活用すると、対象地の生活利便性や環境の善し悪しが見えてきます。
3. ストリートビューで「目に見えるリスク」をチェック
ストリートビュー機能を使えば、まるで現地にいるかのように360度の街並みを確認することができます。以下の点を注視しましょう。
■ 接道と道路状況
- 道路幅や舗装の有無
- 道路の傾斜(坂道、段差)
- 敷地と道路の高低差(造成費用に影響)
- 前面道路に電柱・電線・マンホールの位置
再建築や駐車スペースの確保を考える際、これらの物理的条件が大きく関わってきます。
■ 近隣環境の雰囲気
- 隣地との距離・建物の密集度
- ゴミの散乱、空き家の有無
- 夜道が暗くなりそうな場所(街灯の有無)
- 雨水排水口や側溝の整備状況
ストリートビュー上で見える情報だけでも、現地の清潔感や管理状況、住民の生活感がある程度読み取れます。
4. Google Earthで立体的に地形や周辺環境を把握
Google Earth(https://earth.google.com)を使うと、さらに**立体的な視点**で土地や建物の周辺を確認できます。
■ 使いどころ
- 高低差(傾斜地・崖地)の確認
- 山、川、田んぼなど自然環境との位置関係
- 建物の密集度と日当たりの想定
- 周辺の開発状況(造成地や区画整理の有無)
山間部や郊外の物件では、斜面や地形の影響で建築費用が高くなることも。Google Earthはその見極めに役立ちます。
5. 航空写真と地図を使い分けるコツ
Googleマップでは「地図モード」と「航空写真モード(衛星画像)」を切り替えることができます。それぞれの特性を理解して、使い分けることがポイントです。
モード | 得意な情報 |
---|---|
地図モード | 道路、施設名、路線、建物の用途(色分け) |
航空写真 | 建物の形、屋根の状態、駐車場や空き地の有無 |
たとえば、航空写真で見ると「隣地の屋根が崩れている」ことに気づいたり、「更地だと思っていたら古家が残っている」ことが分かることもあります。
6. チェックすべき5つのポイント
無料のマップ調査で必ず確認したいのは、以下の5項目です。
① 接道状況
- 道幅は4m以上あるか?
- 接道が2m以上あるか?
- 道路の種類(公道、私道)を想定する
② 周辺環境
- 近隣に嫌悪施設はないか?
- ゴミ置き場や空き家の有無
- 住環境として快適かどうか
③ 地形・地勢
- 高低差はあるか?
- 崖や斜面、擁壁がないか?
- 水はけが悪そうな場所ではないか?
④ 日当たり・風通し
- 南側に大きな建物はあるか?
- 道路との位置関係は?(南面接道が理想)
- 密集地ではないか?
⑤ 交通・利便性
- 最寄り駅・バス停まで徒歩何分?
- 通学・通勤に不便はないか?
- スーパー・病院・学校などの距離
これらの項目を「自宅で無料でチェック」できるのが、マップ調査の最大の強みです。
7. オンライン調査の限界と補完方法
とはいえ、Googleマップやストリートビューにも限界があります。
■ 限界点
- 最新の情報ではない(数年前の画像のことも)
- 道路の通行状況や騒音は分からない
- 隣地との境界や越境物の有無は確認できない
- 地盤の状態や地中埋設物の情報はない
これらはあくまで「簡易調査」の段階であり、最終的には現地訪問+役所調査+専門家による確認が必要です。
8. まとめ:現地調査の第一歩はマップから!
不動産の調査は「現地に行って終わり」ではありません。むしろ、行く前にどれだけ情報を集められるかが重要です。
Googleマップやストリートビューを使えば、以下のような情報を事前にチェックできます:
✅ 接道・道路の状況
✅ 周辺環境の良し悪し
✅ 利便施設の配置
✅ 建物の密集度や日当たり
✅ 地形や高低差の想定
もちろん、完璧な調査にはなりませんが、「その物件を見に行く価値があるかどうか」「注意すべき点はどこか」を把握するためには十分です。
不動産調査の第一歩として、無料のオンラインマップツールを最大限に活用しましょう。ちょっとした手間が、数百万円単位の損失を防ぐカギになるかもしれません。

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