~後悔しないための“見るべきポイント”とは~
「新築より手が届く」「実際に見て選べる」
そんな魅力から人気のある中古物件購入。しかし、見た目がきれいでも、目に見えないリスクが隠れていることがあります。
たとえば…
- 雨漏りや白アリの痕跡
- リフォーム不可の構造
- 法律的に再建築ができない
- 隣人とのトラブル履歴 など
こうした落とし穴を回避するには、事前の調査が命。この記事では、中古住宅・中古マンションを買う前に「絶対チェックすべき調査項目」を、初心者でもわかるように解説します。
1. 物件の「登記簿」を取得し、所有者と権利関係を確認
✔ 調査内容
- 所有者が誰か(売主と一致しているか)
- 抵当権や差押えなどの制限が付いていないか
✔ なぜ重要?
権利関係が複雑だったり、登記されていない使用者がいたりすると、後で売買が成立しない可能性があります。
✔ どこで確認?
【法務局】で「登記簿謄本(登記事項証明書)」を取得します。
📝ポイント
- 共同名義の場合、全員の同意が必要
- 借地権付き物件の場合、地主の承諾も必要
2. 建物の構造・築年数・耐震性をチェック
✔ 調査内容
- 構造(木造、鉄骨、RCなど)
- 築年数(1981年以前の建物は要注意)
- 耐震診断の実施有無
- リフォーム履歴・増改築履歴
✔ なぜ重要?
耐震基準が旧基準の場合、大地震で倒壊リスクがあります。また、古すぎる建物はリフォーム費用がかさみがち。
✔ どこで確認?
- 不動産会社の物件資料
- 「建築確認済証」「検査済証」
- 耐震診断書(あれば)
📝ポイント
1981年(昭和56年)6月以降の建物は新耐震基準で建てられているため、耐震性が大きく向上しています。
3. 建築確認・検査済証の有無を確認する
✔ 調査内容
- 建築確認申請書(設計時に役所へ提出)
- 検査済証(完成時に役所が検査)
✔ なぜ重要?
無許可で増築・改築されている場合、ローン審査に通らなかったり、将来の売却に支障をきたす可能性があります。
✔ どこで確認?
- 売主、不動産会社に提出を求める
- 自治体の建築課で過去記録を確認
📝ポイント
古い物件では検査済証が「ない」ケースもありますが、その場合は用途や安全性を確認する補足資料が必要です。
4. 接道状況を確認し、「再建築可能か」を見極める
✔ 調査内容
- 前面道路の幅が4m以上か
- 接道幅が2m以上あるか
- 法的に「道路」と認められているか(建築基準法第42条)
✔ なぜ重要?
接道要件を満たしていないと「再建築不可物件」となり、将来的に建て替えができません。
✔ どこで確認?
- 現地調査
- 建築課(役所)で道路台帳を確認
📝ポイント
私道に面している物件では、掘削や通行の「承諾書」が必要になることがあります。
5. インフラ設備の状態をチェック(水道・電気・ガス・排水)
✔ 調査内容
- 上下水道が引き込まれているか
- 排水は公共下水か浄化槽か
- ガスは都市ガスかプロパンか
- 電気容量・配線の老朽化
✔ なぜ重要?
古い住宅ではインフラが基準を満たしておらず、大規模な配管工事が必要な場合があります。想定外のコストに直結。
✔ どこで確認?
- 現地確認
- インフラ図面(不動産会社や自治体に確認)
📝ポイント
特に「浄化槽」→「下水道」へ接続するには数十万円の工事費がかかることもあります。
6. 雨漏り・シロアリ・カビなど、建物の劣化状況を調査
✔ 調査内容
- 屋根や天井に雨染みはないか
- 壁のひび割れ、床の傾きはないか
- 浴室や床下のカビ・腐食
- シロアリ防除の履歴
✔ なぜ重要?
構造的な損傷や腐食が進んでいる場合、修繕費が数百万円単位にのぼるケースも。素人目では気づきにくいため要注意。
✔ どこで確認?
- 現地見学(必ず昼間に!)
- 必要に応じて「ホームインスペクション(住宅診断)」を利用
📝ポイント
住宅診断は5〜10万円程度で、第三者の専門家が「目に見えない不具合」を調査してくれます。購入前にぜひ検討を。
7. 近隣トラブルや環境リスクを調べる
✔ 調査内容
- 隣地との境界や越境はないか
- 騒音・臭気・交通状況などの生活環境
- ゴミ出しのルールや町内会の有無
- 過去のトラブル・事件・事故の有無
✔ なぜ重要?
いくら物件が気に入っても、「隣人トラブル」や「住環境の悪さ」は精神的に大きな負担になります。住んでから後悔しても遅い!
✔ どこで確認?
- 昼・夜・平日・週末で複数回見学
- 近所の人や自治会にそれとなくヒアリング
- Googleマップのストリートビューも活用
📝ポイント
不動産会社に「心理的瑕疵(しんりてきかし)」の有無を確認するのも忘れずに。
8. 管理状況(マンションの場合)
※マンション購入時に必須のチェック項目です。
✔ 調査内容
- 管理会社の有無と実績
- 管理組合の運営状況(理事会・総会の記録)
- 長期修繕計画の有無
- 修繕積立金の残高・値上げ予定
- 大規模修繕の履歴
✔ なぜ重要?
管理が不十分だと、建物全体の価値が下がります。積立金が不足していると、将来一時金の徴収があるかもしれません。
✔ どこで確認?
- 重要事項調査報告書(管理会社が発行)
- 管理規約・議事録
9. 購入後のリフォーム可否・費用の確認
✔ 調査内容
- 水回りの位置が変更可能か
- 構造的に壁を抜けるか(耐力壁でないか)
- 増築や間取り変更の制限
✔ なぜ重要?
「買った後に自分好みに直すつもり」だったのに、法令や構造で制限されていた…というケースが非常に多いです。
✔ どこで確認?
- 建築士に同行してもらう
- 工務店やリフォーム会社に見積もりを依頼
10. 売買契約書・重要事項説明書の内容を精読する
✔ 調査内容
- 瑕疵担保責任(契約不適合責任)の有無
- 引き渡し条件(現状有姿か、修繕後か)
- 付帯設備(エアコン・給湯器など)の動作確認
- 境界明示の有無
✔ なぜ重要?
契約書に明記されていないと、後々のトラブルで不利になる可能性があります。
✔ どこで確認?
- 宅地建物取引士による「重要事項説明」
- 不明点は遠慮なく質問を!
まとめ:調査を怠れば「安くても損をする」
中古物件は、見た目の価格以上に「中身」が重要です。表面だけを見て「お買い得だ!」と即決してしまうと、あとからリフォーム費、修繕費、トラブル対応で数百万の出費になることも。
✅ 絶対に確認すべき調査項目(おさらい)
- 登記簿(所有権と抵当権)
- 構造・築年数・耐震性
- 建築確認・検査済証
- 接道と再建築可否
- インフラ設備
- 劣化状況(雨漏り・シロアリ)
- 近隣環境・トラブル
- マンションなら管理状況
- リフォーム可否
- 契約書・重要事項説明書
最後にひとこと
中古物件を安心して買うには、「調査」こそが最大の武器です。不安があれば、建築士や住宅診断士、不動産鑑定士などの専門家にサポートを依頼することも視野に入れましょう。
「安いから買う」ではなく、
「納得して買う」――そのための第一歩が調査です。
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