不動産業者が密かに見ているプロの調査ポイントとは

不動産業者が密かに見ているプロの調査ポイントとは

不動産購入は人生で最も高額な買い物の一つ。誰もが失敗したくないと思っていますが、表面だけを見て判断すると後悔することも。実は不動産業者や投資家などのプロたちは、一般人が見落としがちな調査ポイントを密かにチェックしています。

この記事では、不動産のプロが「現地調査」や「役所調査」で特に重視している視点を8つ紹介します。初心者でも知っておくことで、購入前の失敗リスクを大きく下げられます。


1. 道路と接道状況:建築の可否を左右する

プロが最初に確認するのが接道義務の有無です。

建築基準法では、建物を建てる土地は「幅4m以上の道路に2m以上接している」必要があります。これを満たさない土地は「建築不可」または「再建築不可」となり、建て替えができません。

見落としがちなポイント:

  • 私道に接していても、通行承諾がなければNG
  • セットバック(道路後退)で敷地が実質狭くなることも
  • 接している道路が「建築基準法上の道路」かどうかを調査

プロは「道路種別」を役所で調べ、航空写真や現地でセットバックの有無も確認します。


2. 地盤と地形:表面からはわからないリスク

見た目が平坦な土地でも、地盤に問題があれば建物が傾いたり、追加の補強費用がかかったりします。

プロが見るポイント:

  • ハザードマップで「液状化」「地滑り」リスクを確認
  • 過去の用途(土壌汚染・埋立地・田畑など)を調査
  • 近隣の建物で傾き・ひび割れがないか観察

特に埋立地や低地、旧河川敷などは要注意。地盤調査データがない場合、近隣の地盤改良工事の有無を業者は調べています。


3. 用途地域と建築制限:どんな建物が建てられるか

土地には「用途地域」が指定されており、建てられる建物の種類や規模が制限されています。

プロが確認すること:

  • 建ぺい率・容積率
  • 斜線制限や高さ制限
  • 絶対高さ・日影規制の有無
  • 将来的な開発・再建築の可能性

例えば「第一種低層住居専用地域」では、店舗やマンションは建てられません。逆に「商業地域」では24時間営業の店が近くにできる可能性も。


4. インフラ状況:ライフラインが整っているか

上下水道・ガス・電気が整備されていない土地は、工事費用が高額になることがあります。

プロが見ている点:

  • 上下水道が前面道路に通っているか
  • 引き込み工事の可否と費用
  • 浄化槽が必要かどうか(地方部に多い)
  • ガスの種別(都市ガス or プロパンガス)

水道本管の口径が小さい場合、太くするための負担金が発生することもあります。これらの調査は、役所や水道局などで確認可能です。


5. 境界・越境の有無:トラブルのもと

土地の境界が不明確だったり、隣地の建物が越境している場合、後々大きなトラブルに発展します。

プロのチェック項目:

  • 境界標(鋲・杭)があるか
  • 隣地の塀や建物が越境していないか
  • ブロック塀や樹木の所有者は誰か

古い住宅地や都市部では、「お隣と口約束だけで境界を決めた」ような例も多く、プロは土地家屋調査士の測量履歴なども確認します。


6. 周辺環境:数字に出ない「住みやすさ」

チラシやネットの情報だけではわからない、実際の「住みやすさ」もプロは重視しています。

プロが現地で見ているもの:

  • 電車や車の音、工場などの騒音
  • 日照・風通し・ニオイ
  • ごみ集積所の位置や管理状態
  • 近所に空き家や迷惑施設がないか

また、夜間に不穏な空気がないか(治安面)や、通学路が安全かどうかなど、時間帯を変えて何度も現地を訪れるのがプロのやり方です。


7. 再開発・都市計画の動向

周辺で将来的な再開発やインフラ整備が予定されていれば、不動産の価値は大きく変わります。

プロが注目する情報源:

  • 都市計画図・用途地域変更の計画
  • 道路拡幅・新駅設置・再開発エリアの告知
  • 防災街区整備計画の有無

「将来ここに大型道路ができる予定がある」など、役所の都市計画課に行けば、市民向けに公開されている情報を得ることができます。


8. 権利関係・登記のチェック

どんなに条件が良くても、権利関係が複雑な土地は避けるのが鉄則です。

プロが必ず見る登記内容:

  • 所有権が正確に登記されているか
  • 抵当権や仮登記の有無
  • 地目が「宅地」か「農地」か
  • 地役権や通行権など特殊な制限

特に相続未登記や共有名義の土地は、売買に時間がかかるため、プロは事前に司法書士と連携して調査を進めます。


まとめ:プロの目線で見ると不動産の本当の価値が見えてくる

ここまで紹介した8つの視点は、不動産業者や投資家が物件選定で重視している「プロの調査ポイント」です。

  1. 接道状況と建築可否
  2. 地盤と地形の安全性
  3. 用途地域と建築制限
  4. インフラの整備状況
  5. 境界・越境の有無
  6. 周辺環境のリアルな情報
  7. 将来的な都市計画
  8. 権利関係・登記の確認

物件広告や外観だけではわからない「見えないリスク」を見抜くために、ぜひこれらの視点を取り入れてみてください。

不動産の調査は手間と時間がかかりますが、それ以上の「損を防ぐ効果」があります。プロの目線を味方につけて、後悔のない不動産選びをしましょう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました